江森氏宏之インタビュー

プロフェッショナルインタビュー vol.02 グラッシェル 江森シェフ

プロフェッショナルインタビュー第2回は、
6月23日にクオカスタジオにてレッスンをしていただいた江森宏之氏をお招きしました。

アイスクリームに対する熱い意思とこだわりをお持ちの江森氏。
私たちがまだ知らない、その奥深さをじっくりお伺いします!

DSC_0272_2

■ 江森宏之氏プロフィール ■
1974年生まれ。横浜の名店「ベルグの4月」で8年勤めた後、渡仏。フランス国家最高職人フランクフレッソンのもとで2年、帰国後再びベルグの4月でシェフとして勤めた後、2012年より表参道「グラッシェル」にて立ち上げから3年シェフパティシエを務める。現在は退職し新店の準備中。

色も形も組み合わせ方も。
無限の可能性があるんです、アイスケーキには。
interview_02_02
「味だけでなく、色と香りにもこだわっています」

cuoca:
本日のレッスンでは、ストロベリー、フランボワーズ、マンゴーと様々なフルーツが登場しました。
これらのフルーツピューレについてはどんなこだわりが?

江森氏:
使い勝手がいいことと、色の美しさですね。
いろいろなメーカーさんがありますが、フルティエール社のフルーツピューレは素晴らしいです。
香りもとても重要。だいたい、色が美しいと、それにともなって香りも良いんです。
鮮度の高い良いフルーツを、良い状態で加工できているということだから。

cuoca:
レッスン中も驚きました。
冷たいデザートを作っているのに、会場内の香りがすごいんです。
ずっとフルーツのいい香りに包まれていました。

02_203_2

レッスン当日に制作いただいた「ヴェリーヌ ココ マンゴーパッション」(左)と「ダコワーズ」(右)

江森氏:
若手のシェフでもこのピューレのファンは多いですが、フランスのMOFグラシエのアラン・シャルティエさんもフルティエール社のデモンストレーターをされています。
彼はブルターニュに住んでいて、ブルターニュのフルーツを愛しているので、地元のものをフランス全土に広めていこうとしているんですよね。
そういう姿勢もすごくいいなって思うんですよ。

最近小さいパッケージができて、こういう使いきりサイズのパックっていうのは特に家庭用でいいですよね。
さっき言った色、香り、風味は解凍冷凍を繰り返しちゃうと劣化するので。
手に入りにくいフルーツや加工しにくいものも使いやすいでしょう。
これからの季節なら、ライチピューレのソルベなんか爽やかでおすすめですよ!

「味を左右するのは砂糖。10種類以上を使い分ける」

cuoca:
ピューレ以外では、素材にどんなこだわりが?
アイスクリーム、というと卵や牛乳が思い浮かぶのですが。

江森氏:
もちろん牛乳にもこだわっています。乳脂肪分が高くて濃い味わいのいいものを使う。
今日のレッスンでも生クリームは使わないか、ごくわずかです。
世界的にヘルシー志向に向かっているのもあるけれど、良い牛乳を使えば生クリームがなくたっておいしくできる。

ただ、この牛乳や、先ほどのピューレの良さを引き出すのは、砂糖なんです。

cuoca:
普通のグラニュー糖ではないんですか?

江森氏:
フルーツに合うもの、乳製品に合うもの、とお店では10種類ほどを使い分けています。
砂糖を変えただけで甘さにキレが出たりすると、全体の味わいも変わってくる。
よい牛乳やピューレを選ぶだけではなくて、ここの合わせ方が重要です。
砂糖の力は大きいですよ。

cuoca:
例えばどんな砂糖がおすすめですか?

江森氏:
日本を代表する糖、トレハロースですね。
レッスンではハローデックスという糖を使ったけど、普通は手に入りにくいでしょ。
トレハロースは甘味度がグラニュー糖の40%くらい。糖度はそのままでも、甘ったるさがなくて、フルーツのおいしさが引き立つんですよ。
あとはフルーツの色も良くなる!この効果もすごく大事です。

「自由な造詣と、時間差で楽しめる味わい」

cuoca:
いわゆる普通のアントルメではない、アイスのアントルメならではのこだわりはありますか?

江森氏:
まずは形。アイスゆえに好きな形を作りやすいから、そこはいろいろやります。
それと色の使い方も、普通のケーキとはちょっと違うでしょう。
形、色、合わせ方でそれこそ無限に組んでいける。

今日のレッスンでは長方形のセルクルを使いましたけど、ご家庭で楽しむならやっぱりシリコン型はいいんじゃないかな。
好きな型を用意して、できたてのアイスを詰めるだけでいろいろな形が楽しめますよね。

あとはアイスクリーム、ソルベ、生地というように異なるものを組み合わせることにこだわっています。
ケーキとしてひとくち食べるとそれらが時間差で溶けていって、アイスケーキならではの食感と味わいの変化をつけることができるんですよ。

「地元に愛される、くつろげるお店を作りたい」
interview_02_03

cuoca:
いまお勤めのグラッシェルはもうすぐ退社されるということですが、今後はどのように?

江森氏:
アイスクリームのワールドカップに出ます!
今年の10月のミラノ万博でアイスの世界大会があって、来年の1月にはイタリアでジェラートだけのワールドカップがあるんです。
今年はとにかくジェラートをやって、結果を残したいです。
頑張ります!応援よろしくお願いします!

それから先は、じっくり時間をかけてお店を作りたいですね。
今は場所を探しています。広い敷地で、家のような空間で、ゆっくりくつろいでもらいたい。
地元に愛されるようなお店にしたいですね。

パティシエと同じようにグラシエと呼ばれるプロフェッショナルが存在するほど、奥深い世界のあるアイスクリーム。
普段気軽に食べている「アイス」とは、全く別物の世界がそこにありました!
動物性の素材ではなく、砂糖がポイント、というのも目からウロコでしたね。
新しいお店もきっと、アイスクリームの新たな楽しみ方を教えてくれる素敵な場所になるはず!とても楽しみです。
レッスン中からインタビューまで、気さくにたくさんのお話をしてくださった江森宏之氏、ありがとうございました。