森和也氏・池田浩明氏 インタビュー

新麦コレクションインタビュー

■池田浩明 氏(左):パンライター。「パンラボ」主宰。

■森和也 氏(右):ゴントランシェリエ東京 チーフ。

10月終わりに開催されたクオカスタジオのレッスンは「新麦」がテーマ。
まだ耳慣れないこの言葉、いったいどんなものなのでしょう?
今回は「パンを食べるプロ」、「パンを作るプロ」のお2人をお招きしました。

パリの伝統的なパンと日本独特の素材を融合させたパンをプロデュースするブーランジュリー、ゴントランシェリエ東京の森和也氏には、その新麦を使ったパンとスコーンのレッスンを。
もうお一方、パンの研究所パンラボ主宰の池田浩明氏からは、今年から始動した「新麦コレクション」という活動についてのお話を伺います。

cuoca
本日のレッスン、お客様の反応はいかがでしたか?

森さん
みなさん熱心というか・・・強く興味を持っている方が多いなという印象でした。

インタビュー 森氏 画像1インタビュー 池田氏 画像1

cuoca
当店をご利用されている方々は、国産小麦を日常的に使われている方が非常に多いんです。
実は今、パン用粉の売上数ランキングは、国産小麦の強力粉が1位なんですよ。

池田さん
へぇー。外国産小麦ではないんですね。

cuoca
ひと昔前までは、パン作りといえば外国産小麦でしたよね。
国産小麦はベタつく、膨らみが悪い、製パンに向かないといわれ続けてきました。
この10年で国産小麦に対する認識はかなり様変わりしたと思いますが、改めて、「新麦」とはなんぞやというのをお教えいただけますか?

池田さん
まず「新麦」の定義としては、その年に穫れたばかり、挽いたばかりの小麦のことです。

cuoca
これ意外と知られていないんですが、基本的に小麦は穫ってすぐには食べないんですよね。
熟成させるのが常識というか・・・。麦のまま長期保管して、製粉して出荷する。
だから「農作物」という意識が薄い気がします。

池田さん
そう。でも小麦もまぎれもなく農作物ですから、お米なんかと同じように「新物」があるんです。
挽きたてが一番香り豊かという点では、蕎麦やコーヒーと一緒。
「新麦コレクション」は、そういうことを大事にする文化や、国内で穫れたばかりの「新麦」の、香りとか味わいをみんなで楽しむムーブメントを創りたいと思ってはじめました。

インタビュー 池田氏 画像2

cuoca
森さん、実際にパンを作られるお立場から見ると、新麦はどうですか?

森さん
正直、小麦粉としては安定してはいないんです。名の通りできたばかりのものだしね。
いつもと同じように作っても同じようにできなかったり、こうきたか!っていう動きをしたりする。
でもそれが、じゃあこやってみよう!につながって、すごくおもしろい。
気持ちを高めるきっかけになるというのかな。
作る側としても、楽しむ精神を刺激されますよ。

インタビュー 森氏 画像2

cuoca
今回のレッスンでは、パンとお菓子、合わせて3種のレシピを教えていただきました。
それぞれ味も食感も全く違って、個性豊かな仕上がりでしたね!
お客様にはよく、この粉はどのパンに合いますか?とご質問いただくのですが・・・

森さん
「粉シェルジュ」みたいなひとがいるといいよね。
ま、それでいうと、粉ありきっていうより作りたいパンありきで考えてもらったほうがいいかなと思います。

cuoca
なるほど!
そうしますと今回のパンはどのようなところを目指されたのですか?

森さん
食パンに関してはもちもち感と弾力、それに歯切れのいい軽い食感を出したかった。
だから「はるゆたか」をメインにして、ポーリッシュ法を用いました。
スコーンはやっぱりザクザク感!古代小麦ならではで風味の強い「ディンケル小麦」と薄力粉のドルチェを半々で。
カンパーニュは、素朴な味わいで食感はサクッとさせたくて、「キタノカオリ」に薄力粉の「きたほなみ」と全粒粉の「ディンケル小麦」をブレンドしました。

新麦で焼き上げたパン

上段:ディンケル小麦のスコーン、下段左:フルーツカンパーニュ、下段右:ポーリッシュ法で作る食パン

cuoca
数量限定でもう今期分は完売してしまったものもあり、申し訳ないです。
また、新麦と呼べるのは収穫してから2ヶ月だけなんですよね。
いっときのお楽しみだからこそ、来年はもっと盛り上げていきたい!と思っているのですが、今後はどんなお取り組みをされていきますか?

池田さん
新麦コレクションは若手のトップシェフも多く賛同してくださっているので、パン教室や講習会をもっと開催したいですね。
といってもプロ向けの技術講習会だけじゃなくて、小麦とパンの話を聞く会のような。
そうしたら会議室じゃなくてカフェやお店でできるし、家庭でパン作りをしている人も気軽に楽しめるでしょう。
あとは年に一度の収穫祭とか!とにかく人が集まる機会をたくさん設けたいと思っています。

インタビュー 森氏と池田市 画像1

池田さん
あとは小麦畑のツアーかな。
知ってます?小麦っていま、全国47都道府県ほとんどで作ってるんですよ。この東京都でも作られています。

cuoca
そうなんですか!北のほうだったり、寒い地域だけじゃないんですね?

池田さん
小麦の産地も、パンのイベントも、限った場所だけで行われているわけじゃないですよ。
「かわさきパン博」っていうのがあるんだけど。神奈川じゃなくて、福岡県の川崎町というところの。
これだって青山パン祭りを超えるような規模で盛り上がってるんですよ!
おいしいパンや、新しい発見がすぐ身近にあるんだよ、ということも伝えたいです。
地元の農家さん、パン屋さんとつながっていくような。

森さん
そういうところに自分でパンを作る人にも来てもらったらすごくいいですよね。
そこで体験したものを、実際に家族に作ってあげて、おいしいね!っていう共有になって。
パンを作る、食べる楽しさが広がっていくよね。

池田さん
パンを通じた友達とかもできますよ。
同じ好きなことでつながっていくから楽しいし、パン屋さんって熱い人が多いですよね。
こだわりや想いを強く持っているからおもしろいです。

cuoca
ここ最近、パンに対する熱気がどんどん高まっているというか・・・。
パンのイベントも本当に増えましたよね。
なぜこんなにも、パンはみんなの心を掴むんでしょうかね?

森さん
そうですね、なんでだろう?
あの焼き立てのにおいっていうのはかなり人を惹きつけると思うけど。

cuoca
抗えないんですよね、引き寄せられちゃう。

池田さん
ぼくの持論なんですけどね「パンは、持ち歩くことのできるメディアであり、会話が生まれるコミュニケーションツールである」と。

cuoca
と申しますと?

池田さん
パンって1つで完結しているじゃないですか。
例えば惣菜パンって、その中に料理が入っていて、シェフの食への感謝とか、センスが詰まっている。
それがメディア=媒体である、という理由。
さらに、パンはモバイルであるということ。
一皿にこめる、という意味ではレストランも一緒だけど、レストランのお皿って持ち歩けないでしょう。
パンはそれ1つだけで、情報を伝達する力を持っているんですよ。
だからみんな、心惹かれたり、感動したことを、簡単に伝えられる。
おいしいと思ったパンをお土産にしたり、プレゼントもできる。
高いパンっていっても数百円とか、そこまで高くないから。
おいしいよ、と教わったお店に自分も行って、すぐに共感できる。みんなにとって平等なんです、パンは。

cuoca
な、なるほど~!ストンと落ちました!笑

池田さん
みんなと集まって共有するのも簡単ですよ。すぐに持ち寄りできるから。
いろいろなパンをみんなで少しずつ食べるの、楽しいよね。
こういうところが、どんどん広がっていくパンの魅力なんじゃないかと思っています。

森さん
こういう動きの中で、新麦がまたきっかけになったらいいよね。
来年も、その後も、ずっと続けていきたい活動ですよね。

池田さん
はい、自然から授かった小麦のおいしさと、それを育ててくれた生産者さん、パンにしてくれたパン屋さんに感謝しながら、もっとパンを楽しんでいきたいですね。

パンを作ること、だけでなく、食べることについても深く考えるきっかけをいただいた今回のインタビュー。
今後の「新麦コレクション」の活動も、次々と新しい出会いを体験することができそうですね!
来年の秋収穫の「新麦」もどうぞお楽しみに!

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