美しい色合い、上品な甘み、シンプルな素材のおいしさが楽しめる和菓子。洋菓子とはまた違う特徴のある和菓子の人気が、今高まって来ています。そんな和菓子の魅力や、おもたせとして贈ることについて抹茶やあんこを使ったスイーツのレシピ本も出していらっしゃる、料理研究家の坂田阿希子先生に語っていただきました。
   撮影:砂原 文
料理研究家。フランス菓子店・料理店での勤務、料理研究家のアシスタントを経て、表参道で料理教室「studio SPOON」を主宰。現在は料理雑誌を中心に活躍中で、著書も「バナナのお菓子」「抹茶のお菓子」(家の光協会)、「友だち呼んでおうちごはん」(角川SSコミュニケーションズ)、「ホームベーカリーとパンのお菓子」(扶桑社)など多数。 使い込まれたアンティークの雑貨や器を取り入れた自宅のインテリアも、女性読者の共感を呼んでいる。
   【studio SPOON】http://acco2000.cool.ne.jp/
ー普段お菓子作りをされている方でも、和菓子って自分で作るのはハードルが高いのでは?と思う方も多いようです。
実は和菓子って、洋菓子ほど「ふくらまなかった」とか、「かさかさになっちゃった」という失敗が意外と少ないんです。基本的に和菓子で使われている材料は、おもちであったりあんこや練り切りだったり、水分を持っている素材を使うので、口当たりもいいですし。初めての方でも、誰が作ってもおいしいものができて、手作り感も楽しめるんですよ。

色味も色紅や抹茶で鮮やかな色もつけられるのも和菓子ならでは。おもたせにした時でも、箱を開けたときの第一印象は、もしかすると和菓子の方が華やかかもしれませんね。
それに和菓子は季節を表した形が多いので、春には花びらもちに桜もち、夏は涼しげな寒天寄せですとか、「何か人に気持ちを伝えたい」というシーンにはぴったりの贈り物になると思います。
洋菓子は、最後の仕上げは絞り袋やパレットナイフを使ったり、手で直接触って完成させることはそんなに無いですが、和菓子は仕上げを手で行うものが多いです。自分の手で感触を確かめながら作っていけば、「最後に取り返しのつかない大失敗!」なんていう悲しい結果にはなりにくいはず。触感を確かめながら作っていく和菓子は、やっぱり日本で生まれたものなんだなあと感じます。
ちょっと仕上がった形が不格好になってしまったとしても、それはまたご愛嬌で(笑)和菓子の持つ良さだと思いますね。
ー和菓子をおもたせに
生ケーキを手作りすると、意外とおもたせにしにくいことが多いんです。でも、和菓子は箱に詰めればOK。かちっとした入れ物の方が和菓子の雰囲気に合うので、がさがさっと袋に入れるというよりは、角がある箱につめるときちんと感も出て、おもたせにはぴったりですよ。あとは、私はなるべく沢山ごみが出ないようなラッピングになるように気をつけるようにしています。シンプルな箱にスタンプを押したり、大げさでない方がちょうどよいかと。
和菓子は、同じ手作りでも洋菓子とは全然違うジャンルなのでは・・という気がします。どちらかというと和菓子は工作に近いというか、初めての方でも上手にできるし、普段全く作らない人でも大丈夫です。使う材料も、ある程度そろえればスタートできますよ。もちろんかわいい木型とか、繊細な抜き型とか、凝り出したらきりがないんでしょうけど(笑)
ーあれこれ揃えなくても、気軽にスタートできそうですね。
始めはそんなに沢山道具がなくても、家にあるボウルとへらがあればまず大丈夫です。和菓子で使う材料も、お豆だったり、さつまいもやかぼちゃだったりするので、家にいつもあるか、割と手に入りやすい、常備しやすい素材が多いですよね。
ーそして和菓子はやっぱりヘルシーなんでしょうか?
和菓子はバターとか生クリームといった脂肪分が入っていないだけに、基本的に胃にもたれにくいです。私の体験談なのですが、抹茶の本を作っていた時に、連日の撮影でいくら試食をしても全然平気だったんです。バナナの本の時は「もうバナナなんて当分見たくない!」という状態になったのですが(笑)。抹茶のあの苦みが味覚をすっきりさせてくれるのかもしれません。
普段お菓子の本を作るときは、撮影が連日ですとだんだん疲れてくるんですけれど、抹茶の本の時は「何だか元気になってくるよね~」とスタッフが皆口にしていました。
   撮影:砂原 文
ーお話に出て来た抹茶ですが、レシピ本ではいろいろな使い方が紹介されていました。
   撮影:砂原 文
あの鮮やかなグリーンは、抹茶ならではだと思います。粉末状なので、生地に練りこめば色がつきますし、スポンジに混ぜたりもできます。少量入れるだけでアクセントになるのがいいところです。
抹茶はちょっと使うだけでも雰囲気が変わりますし、手軽で便利な和素材だと思います。
あとは、普段上白糖やグラニュー糖を使っているところを和三盆糖に置き換えてみるのもおすすめです。和三盆糖の口どけとすっとした甘みは独特のものなので、食べた時に「あ、何かちょっと違う?」という印象になると思います。ロールケーキのクリームに入れてもおいしいです。 普段洋菓子を作っている方も、和風にアレンジするのは意外と簡単なので、手軽なところから始めてみると楽しいですよ。
ー先生のお宅には、インテリアや器でも、古い和のものが取り入れられていますよね。
私はちょっと使い込まれた和のものが好きで、新潟の実家から少しずつ持ってきているんです。必ずしも「和」の用途でなくても、例えばお盆に小皿を沢山並べて人が来た時に出したり、うちでは自由な発想で使っています。日本の古い物って、しっかりしているし、古い物にしかない色合いがあったりカットがきれいだったりして、「いいなあ」と感じます。
和菓子と同じであまり難しく考えずに、普段の暮らしの中にぜひ和のエッセンスも取り入れてみてはどうでしょう。
◆イベントのお知らせ◆
3月21日(日)に、自由が丘ショップにて坂田先生に和菓子を教わるレッスンを開催します!
詳しくはこちらのページでお知らせしますので、みなさまのご参加をお待ちしております!