今回のゲスト
稲垣智子さん
日本パンコーディネーター協会 理事・主任講師。芸大在学中、ノート80冊分のパンのスケッチとベーカリーレポートをもとに論文「日本のパンは何処へゆく?」を執筆。その後リテイルベーカリーのマーケティングとして勤務後、渡仏。帰国後はスターバックスコーヒージャパン(株)にて商品開発に携わる。現在は協会運営を中心にベーカリーの商品企画・開発アドバイスや販促デザインのコンサルティング、パンの食べ方・楽しみ方をテーマにしたセミナーやイベントの企画を行う。著書「毎日食べたいごちそうパン料理」(河出書房新社)

スパイスの香る食卓とパン

みなさん、はじめまして。日本パンコーディネーター協会の稲垣智子です。

"パンコーディネーター"とは、パンを食べる視点に立って、おいしい食べ方や楽しみ方、パンをとりまくあらゆるリクエストに幅広く応え、提案することができる人を表します。協会ではパンコーディネーター資格として認定制度を行っています。

私は16歳の頃からパンを食べることが大好きになり、学生時代はテレビチャンピオン という番組に出場するほどのマニアックぶり(笑)で、フランスに移住することを本 気で考えた時期もありました。その後、消費者としてだけでなく、職業としてパンと深く関わっていくうちに「全国各地の多くの人がもっともっとパンに興味を持ってほしい」、「パンをどのように食べるかということに関心を向けて食べてほしい」という思いが年々強くなっていました。いつしかその想いがパンコーディネーターという人材の必要性・確信へと変わり、日本パンコーディネーター協会を設立する大きな原動力となりました。
さて、ここでは私の最近のパンのある生活の一部をご紹介させていただこうと思います。

私がパンと一緒に食べる料理の一つとして二年ほど前から凝っているものがあります。それはコリアンダー、カルダモン、クミン、アジョワンといったスパイスをふんだん に使ったスパイス料理です。
パンに負けないくらい長い歴史を持つスパイスは、料理に奥深い味わいを加えてくれるだけでなく、素材の持つ味わいやうま味を最大限に引き出し、漢方薬のように自分の体調にあわせて使い分けることで体調管理ができるといった特徴があります。 スパイスの勉強をするなかで最近はインドをはじめとする中近東の国々の食文化や生活にも興味が一層湧いてきました。
たとえば、インドの日常パンには平焼きの無発酵パン"チャパティー"や、同じ生地を油で揚げた"プ―リ"があります。特に北インドでは、どちらも毎日家庭で作られ、食べられているパンです。
インドのヒンドゥ教徒は、左手は使わず右手だけで食事をしますが、右手だけでうまくおかずをつかんで口に運ぶことは意外と難しいもの。でも平焼きのチャパティーや中がポケット状に膨らんだプ―リなら右手だけでちぎってサブジを挟み、口に運びやすい形状になっています。パンが食文化や習慣に即しているところも面白いですね。
私はよく週末に知人を家に招いて食事会をするのですが、自宅には常にスパイスを常備しており、それらを使ったお料理とそれに合う簡単なパンを作ります。プ―リとチキンカレー、新ジャガイモと新キャベツのサブジ。汁気のないほっくりとしたじゃがいものサブジはちぎったプ―リで掴んで口に運びやすい惣菜なのでプ―リにあうお料理といえると思います。

昨年の夏には金沢で知人達と「インドの夕べ」というインドの食と文化を体験してもらうイベントを開催しました。そこで私はスパイスを使ったインド料理各種とパンの食卓を提案したのですが、なかでも平焼きのパン「チャパティー」とインドの軽食「サモサ」は大好評でした。サモサは生地のなかにアジョワンという清涼感のあるスパイスを練り込んでいるため、油で揚げているのにすこしさっぱりとした不思議な風味が楽しめます。

私のお気に入りのブレンドスパイスをご紹介。コリアンダー、ブラックペッパー、ホワイトペッパーをタワー(縁のないフライパンのような平ベったい鉄板)で香ばしく炒ったあと、岩塩を加えてミニ石臼でごりごり・・・。するとたちまちスパイスのいい香りが漂ってきます!このスパイスさえあれば生きていける、それくらいどんな素材も美味しくシンプルに仕上げてくれるのです。
日常の生活ですでに欠かせない素材になっているスパイス。パンと同じく奥が深いのでこれからもその無限の美味しさや相乗効果の楽しみを探っていきたいと思っています。

GABAN アター(ナン用小麦粉)500g
チャパティーはもちろんナンやプーリにも使えます。お好みで炒りたてのクミンシードやキャラウェイシードを練り込んでも美味。キメが細かくて使いやすいですよ。

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