今回のゲスト
奥津典子さん
1974年長崎県生まれ。学習院大学在学中にマクロビオティックに出会い、国際的な指導者である久司道夫氏に師事。2003年吉祥寺に夫、奥津友吾とオーガニックベースを立上げ、主任講師。オーガニックベースは、様々なマクロビオティックのクラスの他、通信講座やカフェ「base café」を運営。一男一女の母。DVD付レシピブック「オーガニックベース100」の製作を終えたばかり。
▶ 著書:「organic base 朝昼夜のマクロビオティックレシピ」河出書房 他
▶ HP:Organic Base

五感に美味しい料理

生きていく。毎日を。そうしたら、毎日やることが、必ずありますよね。顔を洗うとか、歯を磨くとか。
毎日自転車に乗る人もいるし、運動する人、お花を必ず活ける人、掃除・・・
色々なことがあって、毎日の積み重ねが、人をつくっていくのかなと思います。そして「食べる」ということは、生きている以上、世界中で誰もが絶対やっていることです。

なんて、とっても当たり前のことですが、マクロビオティックに感動した理由のひとつは、「食べる」という身近でささやかなことに、実は一番影響力があるというメッセージでした。自分を良くしていくのに、海外に勉強に行かないといけないとか、すごくお金を払って特殊なことをするのではなくて、「食べる」といういつもそこにあることを、自分で決めていく、その積み重ねが人生をつくっていく。食こそ、最大のクリエイション、自己責任だなんて、とても誠実かつ厳かな感じがしたのです。
そして本当に、私はそのおかげで別人のように変化できました。命だけでなく、人生を救われたといっても過言ではありません。子供たちも、マクロビオティックで育てられて本当によかったと思います。確かにお付き合いには困ることもあるけれど、でもそれを補って余りある食の影響力です。だから、食と料理に、台所に、その後ろにあるいろいろなご縁に感謝しています。

そして今、料理は仕事の一部になりました。
・・・・正直言うと、今でも私にとって料理はどちらかというとプライベートなことです。マクロビオティックを仕事にしている人にも、いろいろなケースがあると思うけれど、私の場合は、やっぱり家族と自分、に毎日毎日作ることが、料理。だから、料理のプロと呼ばれると、ちょっと自信ないです。でもいい意味で、主婦目線で読者や生徒さんのお役に立てたらうれしいです。   

一方、料理が仕事にもなって、良かったこともいっぱいありました。そのひとつが、たとえば道具の変化です。仕事にするとなると、やっぱりレシピの幅も広げないといけませんし、また作る量も回数も圧倒的に増えますから、そうなると今まで使ったことのない道具とかきちんとしたものを、ときには無理して、買ってみるか!ということになります。
そうすると・・・これが料理が楽しくなるんですよね。やっぱり存在にはわけがあるんだな~ってちょっと感動しました。例えばまな板。分厚いしっかりした木のまな板のほうが、反動がよくて、みじん切りも楽だし疲れません。クッキー型も、なくても、コップとかでも代用はできるけれど、やっぱりいろんな形があるとかわいくて作りたくなるし。つい人や他の子どもにもプレゼントしたくなっちゃう。ご飯も型抜きすると、小さな子は喜んで食べたりします。料理って、とても身近な芸術だと思うけど、すぐシェアできるのがいいなあって思います。美味しいものを出されて不機嫌になる人はいませんものね。

それから素材もいいものを色々試すようになります。要は無理させず、その素材たちの本当の姿で自然にのびのびと育てられ、作られたものたちです。経済効率から守られたものたち?と言ってもいいかもしれません。本物の素材たちって、必要以上に自己PRしない感じだけど、強く魅力的なのです。そして見た目も決め細やかで美しい。手触りも違うから、指先を毎日癒してマッサージしてもらっている気分です。野菜を洗うときは、一緒に、自分自身の手からも余計なものを洗い流している気がします。香りも全然違いました。天然アロマテラピーを毎日台所や食卓で受けているのかもしれません。

そんな風に、道具や素材が変わっていくと、台所の風景だけでなく、音も楽しくなっていきました。サクサクサク、タンタンタン、スパン。コトコト、クツクツ、グツグツ、シャカシャカ・・・料理がかもしだす音を耳で食べる。ヒーリングミュージックというものが注目されているけれど、モーツアルトの音楽が、癒すのは宇宙の構造がそこに組み込まれているからだという理論があるけれど、自然な素材を使った料理の音こそ、天然の宇宙交響曲かも?です。

そんなわけで・・・・料理は、そのプロセス自体が、五感の食べ物でした。作り手はもちろん、家族は、その音や香りや温度などに感覚を刺激され、かつその記憶を、無限に体に無意識に収めていくのだと思います。
だから、美味しくて、食べた人を元気にする料理は、たぶんプロセスも美しいんじゃないかと思います。音も姿も。かくいう私自身もまだまだ、まだまだ、まーだまだ、だけれど、食と料理とともに、皆さんとつながっていける人生をとても幸福に感じています。


cuocaで買える奥津典子さんの本
朝昼夜のマクロビオティックレシピ
プラスチックメジャーカップ500ml
なくても、身近な200ccのメジャーカップで代用できる。と思いがちなのですが・・・やっぱり、500cc一度に計れると本当に便利。何度も計るより楽なだけでなく、水や材料を無駄にしないですむと思います。これは、ドイツのシンプルなデザインがカワイクて、見ているだけで嬉しくなってしまいます。洗いやすいのもポイント。

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