今回のゲスト
桑原奈津子さん
料理研究家。大学卒業後、カフェのベーカリー・キッチンを経て、大手製粉会社に入社。社内の食品開発室において、製菓・製パンメーカーへの試作・商品化に数多く携わる。その後、外資系の加工でん粉メーカーに勤務し、研究職に従事。退社後、フリーの料理研究家に。 レシピの提案はもとより、てらいのないスタイリングも自ら行っており、現在は雑誌や書籍を中心に活動している。近著に「チーズケーキとチーズのお菓子」(扶桑社)など。
▶ ブログ:Qullo & Co.

「パンとのつきあい」

私は主にお菓子の仕事をしていますが、食の仕事に就いたきっかけのひとつは、大学生のときに夢中になったパン作りでした。「なんて楽しいのだろう」と、一人暮らしのアパートからオーブンのある実家に帰る度に、パンを焼くようになりました。
けれども、焼いても焼いてもパンの世界は奥深く、疑問だらけ。楽しいと同時にもっと知りたいという気持ちが強くなり、大学卒業後はパンを焼いている地元のカフェを職場として選びました。
仕事で作っていてもパンへの情熱が冷めることなく「少しでもパンのことを知りたい」と働きながらパン教室に通うほど。ついには「世界中のパンが集まっている東京で修行する!」と、上京したのでした。

パン屋で働くつもりが、いくつものご縁が繋がり、製粉会社の開発センターに就職。会社としては、麺やたこ焼きなど粉ものを中心に様々な研究をしていますが、私はベーカリー担当です。パンや焼き菓子を試作するのが仕事。職場には、理系大学出身者から、ベテランの元パン職人まで居て、刺激を受ける日々でした。
製粉会社を退社してからも、加工でんぷんの会社で同じような仕事をしたり、長らくパンに関わってきたのですが、さて・・・、パンへの疑問が解決されたかというと・・・?
パンは生きもの、やはり奥深いことに変わりはありませんが、つき合い方は上手くなったように思います。

そんな、パンパンと言っていた私が現在自分のためによく焼くのは、天然酵母のパンです。酵母はもともとリンゴとレーズンからおこしたもので、6年もの。普段は冷蔵庫で保存していて、使う前に全粒粉と水を足しておこしてやります。発酵力や味が不安定な時期を乗り越え、今ではすっかり丈夫になってくれました。冷蔵庫に数ヶ月ほおっておいても平気です。焼き上がるまでの時間がかかるだけで案外楽なのですが、酵母から自家製だと満足感が違います。

そしてもうひとつよく焼くのは、ホームベーカリーのパン。パンに興味を持ちはじめたころは、材料を入れるだけで焼き上がってしまうホームベーカリーに物足りなさを感じていました。けれども十数年の時を経て再び使い始めてみたら、これがなかなかおもしろい。
おいしいパンに仕上げるためには配合はとても大事なので、手軽にそれを工夫して好みの味を作れることは大きな楽しみになります。

昨年は、ホームベーカリーの本を出版することになったので、ひたすら試作を繰り返しました。今は自分でもその本を見ながら、夫のお気に入りの"チョココーヒー"などをつくっています。
自家製酵母のパンに、ホームベーカリーのパン。対局にあるような印象ですが、どちらもオリジナリティを楽しめる家のパンなのです。ぜひみなさまもお家でパン作りをお楽しみくださいね。

cuocaで買える桑原奈津子さんの本

チーズケーキとチーズのお菓子

まいにち、ホームベーカリー

江別製粉タイプER
天然酵母パンと好相性。いろいろな粉を試してみて、これに落ち着きました。風味が良くて味も好みなので、ずっと使い続けています。

ページトップへ戻る