かの有名な『シニフィアンシニフィエ』志賀シェフが、「この粉の味は、この世にふたつとありません!」と断言されている国産小麦があります。
その粉こそ、「熊本県産強力粉(ニシノカオリ)」。残念ながら、誰もがおいしく作れる...というタイプのやさしい粉ではありません(笑)。プロのパン屋さんの技術をもってしても、「扱いが非常に難しい!」と言われている独特の持ち味が特徴です。 ただ、この粉にはなぜか職人さんの探求心をひたすらかき立てるものがあるのです。扱いにくいこの粉を、なんとか征服してやる〜!と、多くのパン屋さんたちが挑戦していらっしゃるのだとか。

熊本の豊かな自然に囲まれた麦畑で、大事に育てられているこの「ニシノカオリ」。
志賀シェフからご紹介いただいた際、「この粉は、ブレンドせずにぜひそのまま味わって欲しいのです。この粉にしか出せない味っていうものがあるから。」と、お話を伺いました。
この粉の味を最大限に引き出すという、志賀シェフのバゲットレシピもその際教えていただきましたが、水がたっぷり!イーストほんの少し!の、これまた難しい配合!混ぜ合わせてみて、「こ、これが本当にパンになるのだろうか...」と不安になるほどの生地の状態。
「大事なレシピを、教えていただいてよろしいのでしょうか?」とお伺いしたときに、少しほほえんだ志賀シェフ。「配合があっても、誰にでも再現できるものでもないですよ。」と仰っていた意味がなんだかとってもよくわかりました。
成形の段階になっても、生地は流れるほどの柔らかい状態。どんなに細長く成形しようとしても、ほんの少し手を離したすきにすぐにとろりと横に広がってしまいます。パニック!油断するとすぐに台や手のひらにくっつこうとしてしまうし、天板に移すのもひと苦労。
どきどきしながらオーブンに入れて、約30分。焼き上がったパンは...ああ、やっぱり、志賀シェフの作るバゲットとは全然違う...。
でも、かじってみたバゲットの味は独特でとってもおいしい!発酵乳のような濃厚な香りと癖になるほのかな酸味。まるで燻製を食べているかのような旨み...。

「すぐにうまく焼ける粉ではありません。10回、20回と作り続けて体で覚えていく必要があるのです。」と、志賀シェフは仰います。今回はまだ「洗礼を受けた!」という印象でしたが、確かに闘争心や向上心、情熱をかき立てられるような粉ですよ。パン職人のみなさんが闘志を燃やしてしまう!というのもわかります。
国産小麦と言えば北海道産の小麦ばかりが注目されていますが、日本にはまだまだこんなにおいしい小麦粉が他にもあるのです!昔ながらの製粉機を使って、ゆっくりと、熱がかからないように挽かれた小麦の味は、ぜひ実際に味わって体感していただきたいです。扱いは難しいですが、本当にパンの好きな方におすすめです。
9月24日、志賀シェフから教えていただいたレシピの公開とともに、ついに登場です!パンマニアのみなさま、どうぞお楽しみに!


