三谷
何かと言えばすぐに食べ物の話になる私の場合、夏の乗り切り方もやはり食べ物頼りです。体力を消耗しがちな夏こそ、スタミナのつく食べ物を食べて!食べて!元気を出さねば!と、モリモリ食事を楽しんでいます。
今いちばん恋しいのは、北海道旅行で食べたジンギスカン。モウモウと煙を立てながらやわらかな羊肉を焼き、モヤシやタマネギといっしょにいただくあの豪快な料理。つけだれはスパイスがきいていて、羊肉の旨みを一層引き立ててくれるのです。ジンギスカンの店は東京にもたくさんあるけれど、やっぱり違う。土地の匂いなのか風の匂いなのか、あんなに甘くて勢いがあって、死ぬほどごはんが進むジンギスカンは他では味わえない。ああ…。
このお店では食事の一番最後に、つけだれをお湯で薄めてスープとして飲むのです。表面には羊の脂がこれでもかと浮かび、見てるだけで内臓脂肪が増えそうなんだけど、えいっと口をつけるとなんとも言えない深く芳醇な味わい。ひとくちだけにしようと思っていたのに、あ、あ、あ…とすべて飲みきってしまったのでした。これだけでごはんもう1杯イケそうな、禁断のスープです。夏を乗り切るため、あの味に出会うためにまた北海道上陸したい、と虎視眈々と狙っていますが、果たして!?
新商品のアイデアや企画、レシピなど、およそ正解らしき唯一の答えのない仕事にどっぷりハマっている今日この頃。そんな日々の中で気分転換にはじめて、またまたハマってしまったのがこの『ピクロス』!
縦横5〜20マスのマス目の横にいくつかの数字がふられており、その数だけマス目を塗りつぶして隠されている絵を描き出すというもの。もともと『お絵かきロジック』などという名称でパズル雑誌なんかで親しまれていたゲームなんですが、DSでの操作感もなかなか爽快で楽しいです。
うーんうーん…と考え考え塗りつぶしていく過程は結構悩ましいのですが、正解!で絵柄が判明したときの達成感は実にさわやか。夜寝る前、1問解いて、もう1問解くか…と葛藤するのもお決まりになってきました。
何事もこんな感じで答えが出ればいいんだけど、と思いながら、結局いろいろアイデアをこね回す作業もそれはそれで楽しいものではあります。
でも時々はスカッと爽快な気分になりたい!そんなみなさんにおすすめのパズルです。お試しあれ!
またかい、と言われそうでたいへん恐縮なのですが、マニアックな三谷の冬の楽しみと言えばそれはもう、ガレット・デ・ロワでおなじみの陶器人形『フェーブ』を集めて回ることです。※ガレット・デ・ロワダイアリー参照
夏が過ぎる頃には翌年の新作フェーブ情報がちらほらと入ってきて、それだけでも少々落ち着きをなくす私なのですが、パティスリー店頭にガレット・デ・ロワが並ぶ時期になると、一種の躁状態になってあちこち駆けめぐることになります。何個集めたものやら、これまでフェーブ収集にかけた金額は恐ろしくて改めて計算することもできません。画像は最近入手したセザンヌのシリーズと世界漫遊シリーズ。セザンヌの絵画は額と中のキャンパスが分かれており、好みで入れ替えできるようになっているというたまらなくマニアな仕様。
パティスリーのウィンドウが美しく、気合いの入ったさまざまなガトーが並んで見飽きないのもこの時期ですね。クリスマス、バレンタインとイベントは目白押しで、プライベートは例年ほとんどないも同然でしたが、それでもなんとなく毎年浮かれ気分で過ごせている、不思議に楽しい冬なのです。
現地の方にしてみれば「なーにを、今さら」というような内容なのでしょうが、先日の出張で耳にした『北海道では缶飲料の自動販売機に暖房が入っている』というのはかなりカルチャーショック!な情報でした。そう言われてみれば北海道の真冬の気温は基本的に零下。そこへ持ってきて「つめた〜い」缶飲料は4℃程度。なるほど、温めなければ「つめた〜い」どころか凍って〜る状態になっちゃいます。冷たい飲料も厳寒の地で飲めばちょっと温かいくらいなのかもしれません。
北海道、春にも夏にも秋にも冬にも心を奪われる食べ物や風景が多く、憧れてやまない土地なのですが、やはり冬を知らないで真の北海道好きとは言えない気がしています。湯気でむせかえりそうなラーメンを!罪深いほどバターを乗せまくったじゃがいもを!赤い殻に白い肉がまぶしく輝くズワイガニを!食ーべーに行かなくてはー(花より団子…)。もちろん北海道だけでなく、全国各地、あるいは世界各地にまだ知らぬ驚きの出会いというものはあるのでしょう。ガイドブックやインターネットごしの情報に満足することなく、やっぱり目で見て、触れて、匂いを嗅いで、がぶりと噛みついてそのリアルさを味わってきたいですね。
私の最愛の野菜「じゃがいも」とどちらを選ぶかでとても迷ってしまったのだけれど、現地では食べたことがない・・・ということから、小学生から中学生時代に何度も何度も繰り返し読んだ、作家ミヒャエル・エンデでドイツを語ってみたいと思います。
ミヒャエル・エンデと言えばやはり「はてしない物語」ですが、もうひとつの名作「モモ」がなんと言っても私のお気に入りでした。「時間どろぼうと、ぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子のふしぎな物語」、と解説されたこの作品は1986年に映画にもなっているので、きっと多くの方がご存じのことでしょう。私は残念ながら原作しか読んでいませんが、思いやりに満ちたあたたかな文章、「時間の花」の繊細でていねいな描写、読み進むたびに物語の世界が心に染み通っていくようで、何度も読み返しては冒険を主人公のモモと共有し、胸を躍らせていたのです。
「飲むチョコレート」の存在をはじめて教えてくれたのも、この本でした。モモが生まれてはじめてそれに出会ったシーンは、私にとっても衝撃的だったというわけです。悲しいかな登場人物でない私は、その味わいまでもはモモと共有することができず、それから何年も経ったのちについに、今度は現実の「飲むチョコレート」と再会を果たすことになるのでした。とろりとなめらかなその液体を未だに至上の飲み物と思うのは、あの物語のなかで金のカップに注がれていた、「飲むチョコレート」をイメージするからなのかもしれません。
今やワールドカップに沸くドイツ、その現実の大地ばかりでなく、エンデの描く幻想的で得難く美しい世界も、できるものならばぜひ一度訪れてみたいものです。
フランスの伝統菓子!
チョコレートとバニラのこっくりとしたクリームの調和がたまらない「サンマルク」も、シューとシブーストクリームを芸術的に組み合わせた「サントノレ」も、有塩バターと砂糖を折り込んだブルターニュの名物「クイニャマン」も捨てがたいけれど、やっぱりひとつだけを選ぶなら『愛の泉(井戸)』という名を授けられた伝統菓子「ピュイダムール」でしょうか。
香ばしいパイ生地と甘酸っぱい木苺のジュレをリッチな味わいのクリームが包む、至福の伝統菓子。はじめてこのお菓子を食べた時には、天国の食べ物はこんな味に違いないと確信したものです。柔らかな生成色のクリームにナイフを入れると、中から宝石のように現れる木苺の赤。近年コレクションとしても紹介されるパティシエたちの新作スイーツも素敵ですが、伝統菓子の素朴で力強い美しさにはいつも胸を打たれます。
クリームがこぼれてしまわないように、手づかみで大口開けていただくこともしばしば。お上品とは言えませんが、ちびちびとつつくより豪快にいただきたい、魅惑の伝統菓子なのです。