
お菓子作り、パン作りには欠かせない焼型ですが、型の材質や加工によってお手入れの方法が違います。よいコンディションで長くお使いいただくために、それぞれの焼型の特徴やお使いいただく際の注意点をまとめました。
焼型を使い始める前に、ぜひチェックしてみてください。
基本的な型のお手入れ方法
使用前
洗剤をつけた柔らかいスポンジでよく洗い、よく水気を拭き取ります。
使用するとき
ショートニング(またはサラダ油)を薄く塗り、その上に粉をはたいてから生地を流し込みます。
使用後
洗剤をつけた柔らかいスポンジで洗い、よく水気を拭き取り乾燥させた状態で保管します。
※アルスター(アルタイト)製の型をはじめて使用する際は空焼きが必要ですので、空焼きの方法をご確認ください。
ここがポイントお手入れに関するQ&A
型がさびないようにするには?
使い終わって洗った後は水気を十分にふき取り、熱の残ったオーブンに入れて乾燥させ完全に水気を飛ばしてください。水気が残っていると、さびの原因になります。
また、金属の型は長期間使わず保管しておくと、空気中の湿気でさびてしまうことがよく見られます。長期間保管する場合は、先の方法で乾燥させた後、キッチンペーパーなどで食用油を薄くのばし、ビニール袋などに入れて保管してください
型の特徴・注意点
素材別
表面加工別
アルスター(アルタイト)
アルスター(アルタイト)は、アルミコーティングを施した型です。鉄の熱伝導率のよさと、アルミのさびにくさをもっています。
ここがポイント
アルスターの型をはじめて使うときは最初に空焼きが必要です。空焼きを行うことで型離れや火通りがよくなり、耐久性がアップします。
パンの場合は、ショートニング(またはサラダ油)を薄く塗り生地を入れて二次発酵させます。焼き菓子の場合は、ショートニング(またはサラダ油)を薄く塗りその上に粉をはたいてから生地を流し込みます。
空焼きの方法
ステップ1
150℃のオーブンに型を入れ20分焼きます。ふた付きの場合は、本体とふたを別々にしてオーブンに入れます。

ステップ2
型ができるだけ熱いうちに付着している鉱油やゴミを乾いたタオルで取り、ショートニングまたはスプレーオイルを薄く型の内側に塗り込みます。

ステップ3
さらに240℃のオーブンで15分以上焼けば空焼きの完了です。

注意すること
- 型の使い始めは生地がくっつきやすいですが、繰り返し使うことにより型離れがよくなります。
- ショートニング(またはサラダ油)は手やキッチンペーパーを使い、できるだけ薄く塗ってください。厚く塗ると焦げ付きやムラになる可能性があります。
- 焼き上がりは油脂膜が張るので、型がほんのり茶色に色付きます。
プロアスター
プロアスターは、アルスターに内面フッ素樹脂加工をしたものです。型離れがよく、耐久性もあるので、プロの現場でよく使用されています。
注意すること
- 高温での焼付がされているため高い温度で生地を焼成しても表面加工が剥がれることはありません。しかしあくまで表面加工の為、長期の使用により磨耗することで型離れが悪くなることがあります。
アルミニウム
アルミニウムは、鉄よりも熱伝導がよいので焼き菓子に適しています。軽くて扱いやすいのが特徴です。
注意すること
- さびにくい性質ですが、手入れが悪いと粉を吹くようなアルミニウム特有の腐食が始まるので中性洗剤で洗浄の後、よく乾燥してから保管してください。
- 直火やオーブンなどの間接熱、シーズヒーター等使用可能な熱源を選びませんが、電磁調理器には使用できません。
ヘビーキャストアルミニウム
へビーキャストアルミニウムは、重厚なアルミニウム鋳造で作られています。表面が凸凹で表面積が広いため、油なじみがよく、熱伝導も高く焼き菓子に最適です。
注意すること
- アルミニウムに比べ重く少しの衝撃でも割れやすいので取り扱いは丁寧に。
シリコンゴム
シリコンゴムは、耐熱性・耐凍性があるので、冷凍・冷蔵・電子レンジ・オーブンまで使用可能です。素材が柔らかいため型から外すのが楽で、お手入れも簡単です。熱伝導率はあまりよくありません。
注意すること
- 洗浄の際は、研磨剤やかたいタワシ等は使わないでください。
- 保管する際は、重いものの下に置かないでください。
ステンレス
ステンレスは、耐酸性があり、さびにくく丈夫です。焼成だけでなく、冷たいお菓子の型としても使えます。抗菌性があるので、食材の長期保存にも最適です。
注意すること
- 一般的にステンレスはさびないと言われていますが、鉄の合金であるため、基本的にはさびる金属です。
- ステンレスの熱効率は鉄に比べ悪いので、生地がこびりつくことがあります。
ブリキ
ブリキは、鉄板に薄いスズメッキを施したものです。熱伝導が抜群によく、焼き菓子に最適です。
ただ、ブリキは水分には弱くさびやすいため、湿気を避け乾燥した場所で保管しましょう。
注意すること
- 使用後、長期間使わず保管しておくと、空気中の湿気でさびてしまうことがよく見られます。
- 長期間保管の場合は、中性洗剤で洗浄の後よく水切りし、乾燥させた後、キッチンペーパーなどで食用油を薄くのばし、ビニール袋などに入れて保管してください。
- 水分には弱いため湯せん焼きに使用すると、さびが出ることがあります。湯せん焼きが必要なお菓子を作る場合は、テフロン加工やステンレス製の型をおすすめいたします。
フレキシパン(シリコン&グラスファイバー)
フレキシパンは、耐熱性・耐凍性があるので、+250℃から-40℃まで使用可能。 オーブンで焼いたお菓子をそのまま冷凍することも可能です。耐久性も高く、寿命は金属型の2倍、2500回以上の焼成に耐えることができます。
ただし、熱伝導率はあまりよくないため、焼き色はつきにくいです。
注意すること
- 洗浄の際は、研磨剤やかたいタワシ等は使わないでください。
- 保管する際は、重いものの下に置かないでください。
スズメッキ加工
銅などの金属をスズで表面加工したもの、美しい銀白色が特徴です。スズは、他の金属に比べて毒性が低いことから、食品器具や缶詰の内側などに施されています。
注意すること
- 型が熱いうちに水で急激に冷やすと、加工がはがれやすくなることがあります。
フッ素樹脂加工
テフロン加工
ブラックテフロン加工
基本的には無色透明の表面加工です(黒の顔料を入れたものはブラックテフロン加工と呼ばれます)。ムラのない熱回りとコゲつきづらい性質を持っています。空焼き不要でお手入れも簡単です。
*テフロンは米国デュポン社の登録商標です。
注意すること
- 一部製品においては焼付温度が約240〜290℃と低いので、あまり高い温度で焼く時には使用できないものもあります。
- 型が熱いうちに水で急激に冷やすと、加工がはがれやすくなることがあります。
シリコンコート加工
ハイパーシリコンコート加工
金属の表面をシリコンでコーティングします。シリコンの表面加工で、型離れが抜群によくなります。スプレーオイルを吹きかけるだけで、つるりとお菓子が外れます。
ブリキをベースにしているので、熱伝導のよさもあり、焼き菓子に最適です。
注意すること
- 洗剤をつけた柔らかいスポンジで洗い、熱の残ったオーブンに入れて完全に乾燥させてから保管します。
- 型が熱いうちに水で急激に冷やすと、加工がはがれやすくなることがあります。